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試用期間中や研修期間中は最低賃金より低くてもいいのは本当か?

「試用期間中なんだから、最低賃金よりも低くてもいいし適法なんだよね」
「だから、試用期間中の金額はこれだけってうちの会社では決まっているし、雇用契約書にも就業規則にもそう書いてあるよね」

「研修期間中は研修を受ける期間なのであって、まともに仕事ができないんだから、最低賃金を下回っていてもおかしくないよね」
「最低賃金以上を求めるなら、一人前に仕事ができるようになってからだよね」

会社側からこのように言われた経験のある方や、

試用期間中や研修期間中は、最低賃金より低い賃金でもいいって本当なのかな?
試用期間中や研修期間中の最低賃金未満は適法って本当なのかな?
本当は、最低賃金法違反なんじゃないのかな?

と疑問に感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

疑問や不満を感じつつも、試用期間中(研修期間中)だけだから仕方がないと諦めたり、ようやく見つけた仕事なのだからと我慢したりしている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

また、最低賃金を下回る求人広告を見かけることもよくあります。
試用期間中(研修期間中)は○円といったように、最低賃金を下回る金額が当然のように記載されています。

会社等に雇われて働く私たち労働者が絶対に覚えておきたいのは、以下2点です。

まず1点目は、

試用期間中や研修期間中だからという理由だけで
最低賃金を下回る賃金でもいいということにはならない


ということ。

そして2点目は、

最低賃金より低い賃金が適法なのか
それとも最低賃金法違反なのかを決めるのは、

社長でもなければ上司でもなく、
雇用契約書でも就業規則でもない


ということです。

もう少し詳しく明記すると・・・

最低賃金法には、「減額特例」というものがあります。

実は以前は、「適用除外」という規定がありました。
その「適用除外」は、2008年(平成20年)は廃止されました。
その代わりに「減額特例」という抜け道が作られたという訳です。
(-''-)

「減額特例」の規定では、以下の場合は最低賃金を下回っても構わないと定められています。

  1. 精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者

  2. 試の使用期間中の者

  3. 基礎的な技能等の内容の認定職業訓練を受ける者

  4. 軽易な業務に従事する者

  5. 断続的な業務に従事する者


これだけを見ると、「試用期間中(研修期間中)だから最低賃金未満でも仕方がないのか・・・、我慢するしかないのか・・・(泣)」とつい思ってしまうかもしれませんが、諦めるのはまだ早過ぎます。

試用期間中(研修期間中) = 減額特例が自動的に適用されるのではない

ということを、是非覚えておいて下さい。

先述した通り、

最低賃金未満でもいいのかどうかを決めるのは
社長でもなければ上司でもありません。


ですので、

会社側の言うことを決して鵜呑みにしないで下さい。


【減額特例の適用を受けるには許可が必要】
試用期間中(研修期間中) = 減額特例が自動的に適用されるわけではありません。
また、減額特例は届出制ではなく許可制です。

減額特例の適用を受けるには、所定様式による申請書を作成して労働基準監督署に提出する等、会社側がきちんと手続きを踏んだ上で所轄の都道府県労働局長からの許可をもらう必要があります。

勿論、申請書をとりあえず提出しさえすれば試用期間中の最低賃金未満が全て許可されるわけでもありません。

最低賃金というのは、


最低賃金法とは?最低賃金の本当の意味とは?


にも明記した通り、賃金の最低基準です。
最低の基準を下回るというのは、本来であればあってはならないことです。

そのため、余程の理由でなければ許可はおりません。
最低賃金未満でなければならない「合理的な理由」が求められます。

つまり、

会社側がきちんと手続きを踏んだ上で許可をもらっていなければ無効

であり、よって、

都道府県労働局長からの許可をもらっていないのに
会社側が試用期間中(研修期間中)だから最低賃金未満の賃金でいいと
勝手に決めるのは最低賃金法違反


ということです。
o(`へ')○☆ パーンチ!


【最低賃金を下回る期間が半年以上続くのは有り得ない】
会社側が「許可をもらっているから、何ヶ月でもいいんだよ」と言っていたとしても、最低賃金を下回る賃金の試用期間(研修期間)が半年以上続くようであれば、

本当は許可をもらっていないのでは?
たとえ許可をもらっていたとしても、ウソを言っているのでは?

と疑って下さい。

なぜなら、

減額特例の許可がおりる期間は最長でも6ヶ月

だからです。

よって、

最低賃金を下回る賃金の期間が
半年以上続いたら最低賃金法違反


ということです。
\(`O´θ/ キィーック!


【いくらでも減額していい訳ではない】
会社側が「許可をもらっているから、いくらにしてもいいんだよ」などと言っていたとしても、あまりにも低い賃金なのであれば、

本当は許可をもらっていないのでは?
たとえ許可をもらっていたとしても、ウソを言っているのでは?

と疑って下さい。

最低賃金というのは、


最低賃金法とは?最低賃金の本当の意味とは?


にも明記通り、賃金の最低基準です。
人間らしく働いて生活できる最低基準の賃金です。

それをあくまでも特例として期間限定で減額する訳ですから、当然のことながらいくらでも減額していい訳ではありません。

減額してもいい率は最大でも20%

と定められていますので、そもそも20%超の減額では許可がおりません。

例えば2018年(平成30年)の大阪の地域別最低賃金は、936円です。
この金額を元に20%減額したとしても、最大でも749円までしか減額できないということなります。

よって、

20%超の減額だと最低賃金法違反

ということです。
o(`Θ´)○☆ パーンチ!


【雇用契約や就業規則より最低賃金法が優先】
「法律はどうか知らないけど、うちの会社ではそういうルールだし、試用期間中(研修期間中)の賃金は○円って就業規則にもそう書いてあるから、文句を言う暇があったら早く一人前になったらどうよ?」

「法律がどうあれ、試用期間中(研修期間中)の賃金は○円って書かれている雇用契約書にサインしたんでしょ?嫌なら辞めてくれてもいいんだけどね」

会社側がこのように言ってくる場合もあります。

サインしたのは自分だし自業自得だよね・・・仕方がないよね・・・などとと、つい諦めてしまいそうになるかもしれませんが、

それこそ会社側の思うツボです。


最低賃金法とは?最低賃金の本当の意味とは?


で明記したように、最低賃金法は元々は労働基準法(労基法)の一部だったため、労働基準法(労基法)の性質を受け継いでいます。

ですから、


雇用契約や就業規則と労働基準法(労基法)ではどちらが優先されるか?


にも明記した通り、最低賃金法も労働基準法(労基法)と同様に「強行法規(強行規定)」です。

就業規則や雇用契約よりも、はるかに強い力を持っていて、社長や上司の意思などに関係なく強制的に適用されます。

雇用契約や就業規則、社長や上司の命令などが、
労働基準法や最低賃金法よりも優先されることはまず有り得ません。

労働基準法や最低賃金法が強制的に適用されます。



つまり、

就業規則や雇用契約書にどう書かれていようと
雇用契約書にサインしていようと最低賃金法違反


となり、

最低賃金法で定められている基準に達していない
雇用契約や就業規則の部分は無効


となり、

地域別最低賃金や産業別最低賃金が、強制的に上書き(自動修正)されます。

社長や上司がどんなに嫌だと言っても、法律なんか知ったこっちゃないと豪語していようとです。
また当然のことながら、もらえるはずであった賃金との差額の請求も可能です。
( ^^)ノ


自分さえ我慢すればいい、今だけ我慢すればいいと思ってしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、ご自身が我慢することによってブラック企業はますます調子に乗り、そして新たな犠牲者がさらに生まれてしまいます。

おかしいと思うことをおかしいと言うには勇気が必要だとは思いますが、新たな犠牲者をこれ以上生み出してしまわないためにも、みんなで力を合わせて歯止めをかけて行きませんか?



少しだけど役に立ったと感じて下さった方は、
ここをクリックして頂けると嬉しいです。<(_ _)>




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