社長や上司が怖い、話を聞いてくれない時等の最強の対抗手段:団体交渉(団交)

「社長が怖いから、法律に違反していても、おかしいと思っていても、とても言えそうにない」
「上司が怖いから、我慢して黙って従うしかない」

「上司ときちんと話し合いたいのに、話すら聞いてくれない」
「上司が話を聞いてくれないから、それなら社長に話そうとしても門前払いをされる」

このような悩みってありませんか?

不当な解雇、雇い止め、派遣切り、賃金未払いや引き下げ、雇用保険や社会保険の未加入、サービス残業、長時間労働、セクハラやパワハラなどの職場いじめなど、職場では本当に多くの問題が発生しているにもかかわらず・・・

従業員は労働法のことを知らないはず。
そのようにたかをくくって弱い従業員の足元を見て、

「君の勘違いだよ。こんなの労働法違反じゃないよ」
「法律よりも社内規則が優先するんだよ」

などと平気で嘘をついたりする会社もたくさんあるのではないでしょうか。

たとえ労働法のことをご存知だったとしても、「それは労働法違反です」などと、弱い立場の従業員がたった一人ではなかなか言えないものですよね。

とんでもない話で、

「嫌なら辞めろ!」
「文句を言うなら懲戒解雇(懲戒免職)にするぞ!」

などと逆ギレしたり脅したりする会社もたくさんありますから。

それでも勇気を必死に振り絞って、

「それは労働法違反です」
労働法をきちんと守ってください」

と上司に言おうとしても、取り合ってすらもらえないことも多いのではないでしょうか。

上司がダメなら社長にと思い、社長に会って直接言おうとしても、上司に邪魔されたり、社長と直接会うことすらかなわなかったり聞く耳すら持ってもらえなかったりするのが実際のところではないでしょうか。

このように一人ひとりの労働者は弱い立場なので、労働法違反の被害者であるはずの労働者なのにもかかわらず、どうすることもできずに泣き寝入りしてしまう人も多いのが現状ではないでしょうか。

ですが、

泣き寝入りする必要は全くありません。
我慢する必要も全くありません。


そんな時に知っておいて決して損しない最強の対抗手段が・・・

「団体交渉(団交)」というものです。

たった一人では使用者と対等に話せっこないけど、
同じ気持ちの皆と一緒 = 団体 = 労働組合(ユニオン)なら対等に話せる。

労働組合(ユニオン)から「話し合いたいんだけど」と申し込みされたら、使用者は正当な理由がなければ拒否出来ないと法律で決まっている。
つまり、使用者は話し合いに応じる義務があるため、「お前と話すことなんてない」などと拒否出来ない。

と、


労働組合とは?ユニオンとは?(超簡単な基本中の基本編)


に、明記しておりました。
そんなことが本当に可能なの!?と驚いた方や信じられない方もいらっしゃると思います。

実はこれは、「団体交渉(団交)」等のことを指しています。

そこで今回は、「団体交渉(団交)」というのはどのようなものなのか、「団体交渉(団交)」のメリットとは何なのか、どうしてこのようなことが可能なのか等について、もう少し詳しく説明しておきますね。


【「団体交渉(団交)」とは何か?】
ものすごく簡単に言うと、「団体交渉(団交)」というのは、

「上司や社長等と対等の立場に立って、何らかの要求をしたり話し合いをしたりできる場」

を、合法的、且つ、強制的に設ける方法です。


【団体交渉権は憲法によって労働者に認められている権利】
ちょっと難しい話になりますが、「団体交渉(団交)」というものを理解する上で必要なので触れておきます。

労働者に認められている基本的な権利を「労働基本権」と言い、日本国憲法の第27条に定められています。
この「労働基本権」の中に「労働三権」というものがあって、日本国憲法の第28条に定められています。

この「労働三権」の3つの権利の内の一つが、「団体交渉権」というものです。


労働基本権(日本国憲法 第27条)
|
-- 労働三権(日本国憲法 第28条)-- 団結権、 団体交渉権、団体行動権(争議権)


● 団結権
使用者と労働者では使用者の方が強くて、対等な関係で話し合うのは難しいですよね。
ですから、「団結権」によって、労働者が数の力で使用者と対等になれる権利(労働組合(ユニオン)をつくる権利)を憲法で認めているということです。

つまり、

憲法で労働組合をつくる権利や
労働組合(ユニオン)に加入する権利を認められている



ので、労働組合をつくったり加入したりするのに使用者の許可が不要なのはもちろんのこと、使用者が反対することもできませんし、反対すれば憲法違反になるというわけなのです。


● 団体交渉権
この「団体交渉権」がいわゆる「団体交渉(団交)」というものです。
労働者が「団結権」によって数の力で使用者と対等になったところで、使用者と交渉を行う(「団体交渉(団交)」)ための権利が「団体交渉権」です。

「団体交渉(団交)」を行う前提として、上記の「団結権」が認められているといっても過言ではありません。
一人ひとりの労働者は「団体」ではありません = 「団体」でなければ「団体」交渉とは言えません。

そのため、まずは「団結権」を行使することによって、労働組合(ユニオン)をつくったり加入したりして「団体」になってから、「団体交渉権」を行使して「団体交渉(団交)」するという流れです。


【団体交渉が行えるのは労働組合(ユニオン)だけ】
団体交渉が行えるのは、労働組合法に定められている要件を満たしている労働組合(ユニオン)だけです。

つまり、使用者に対して主体的に交渉を進める権利が認められているのが労働組合(ユニオン)というわけです。


【使用者は団体交渉を拒否できない】
労働組合法の7条2項に明記されている通り、労働組合から団体交渉を申し込まれたら、使用者は原則として受けざるを得ません。

使用者には団体交渉に応じる義務があり、
正当な理由がなければ「団体交渉(団交)」を断ることができない


ため、「お前と話すことなんてない」などと団体交渉を拒否することは法律上禁止されています。

使用者は話し合いに応じさえすれば義務を果たしたことになるのかというと、決してそういうわけではありません。
使用者は「誠実交渉義務」も負っているため、

使用者が誠実な対応を行わなかったら
「団体交渉(団交)」を拒否したのと同等の行為とみなされ、
労働組合法違反となります。


「団体交渉(団交)」の申し込みを使用者が拒否したり、誠実な対応を行わなかったりした場合は、労働者が持っている権利を侵害したということになり、「不当労働行為」となります。

たとえ使用者が「不当労働行為」を行ったとしても、都道府県労働委員会に労働組合は救済を申し立てる権利も持っています。
簡単に言うと、「団体交渉(団交)に誠実に応じなさい」と、使用者に対して命令してもらうよう申し立てる権利です。

そのため、

使用者がどんなに嫌だと思っていたとしても、
「お前と話すことなんてない」などと言って拒否したとしても、
「団体交渉(団交)」を申し込まれたら誠実に対応せざるを得ない


というわけです。

労働組合(ユニオン)には、憲法で認められている「 団体行動権(争議権)」という労働組合にしかない最強の武器がまだありますが、これについてはまた別の機会にご紹介しますね


【労働法違反がなくても団体交渉を申し込むことができる】
労働組合法の第2条に定められている通り、労働組合(ユニオン)は「労働者が主体となつて自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的」としています。
「労働条件の維持改善」や「経済的地位の向上」のために行うのが「団体交渉(団交)」です。

ですから、使用者が労働法法違反を行っている時に、違法行為を是正を要求するために「団体交渉(団交)」を行うのはもちろんですが、使用者が労働法に違反していなかったとしても「団体交渉(団交)」を行うことができます。

例えば、

「給料をもっと上げて欲しい」時にも、
「団体交渉(団交)」を申し込むことができる


ということです。

つまり、

○ 労働条件の維持改善
○ 経済的地位の向上

等につながる要求であれば、使用者に対して「団体交渉(団交)」を申し込むことができるというわけです。


【団体交渉で使用者が約束したことは法的拘束力を持つ】
何でもそうだと思いますが、口約束だけではあてにならないので、何らかの書面に必ず残しますよね。
ただ、いくら書面に残したとしても、法的拘束力がなければ約束したことをきちんと守ってもらえないものではないでしょうか。

労働組合(ユニオン)の場合、「団体交渉(団交)」によって勝ち得た労働条件等を「労働協約」というかたちで書面に残します。
「労働協約」を締結することによって、使用者に約束を守る義務を課すということです。

この「労働協約」ですが、


雇用契約や就業規則と労働基準法(労基法)ではどちらが優先されるか?


にも明記した通り、「労働協約」労働法の次に強い効力を持っています。
つまり、「労働協約」就業規則や雇用契約よりも強い効力を持っているということです。

尚、労働法で定められていることは「あくまでも最低基準」です。
「労働協約」で、最低基準である労働法を下回る条件は無効となります。

※労働法を上回る労働条件を「労働協約」で締結した場合は有効です


【労働組合として団体交渉を行うメリット】
上記の他にも様々なメリットがありますので、特に精神的な面からいくつか挙げておきますね。


● 使用者と対等な立場で、ご自身が納得できるまで何度でも話し合える
先述した通り、「団体交渉(団交)」というのは、使用者と対等な立場で話し合える場です。

使用者と対等な立場で話し合うのですから、

従業員の立場だからと遠慮する必要は一切ありません。
使用者に怯える必要もありません。


本当に言いたいと思っていることを使用者に対して直接言うことができますし、思う存分堂々と主張できます。

納得できなければ「納得できない」とはっきり言うことができますし、ご自身が納得するまで何度でも何度でも話し合うことができます。


● 労働法に詳しくなくても、パワハラ上司やパワハラ社長でも大丈夫
労働法のことを多少知っていたとしても、社内でたった一人で使用者に直接言うと、難しい専門用語を使われて誤魔化されてしまうことがありますよね。

さらに弁護士や社会保険労務士のような専門家に説明されると、権威の力もあって、そういうものなのかも?自分が間違っているのかも?などと思ってしまって、つい納得してしまって後悔することもあるのではないでしょうか。

また、パワハラ上司やパワハラ社長に何か言おうとしても、怒鳴り散らされるだけで終わることもありますし、暴力を振るわれる可能性もありますよね。

何をされるのかわかったものではありませんから、恐怖から何も言えなくてつい我慢してしまいがちですよね。

しかしながら、「団体交渉(団交)」ではそのような心配は無用です。

「団体」交渉なのですから、当然のことながらお一人で「団体交渉(団交)」を行うわけではありません。

「団体交渉(団交)」を行うと決めた時から、ご自身の問題はもはやお一人の問題ではなく、労働組合(ユニオン)全体の問題となります。
労働組合として「団体交渉(団交)」を行うのですから。

使用者側の弁護士が「団体交渉(団交)」に同席することもありますが、

ご自身が労働法のことを何も知らなかった
としても心配はいりません。


労働法にめちゃくちゃ詳しい百戦錬磨の労働組合員が、最低でも一人は必ず同席しますので。
(^^)

また、普段はパワハラ上司やパワハラ社長であっても、「団体交渉(団交)」の場でエキサイトして怒鳴り散らすということは滅多にありません。
なぜなら、それをやったら不利になるとわかっているからです。

「団体交渉(団交)」の場で怒鳴り散らしたら、口ではいくら否定していても「パワハラをやっています」と自ら公言しているようなものですし、誠実な対応を行わなかったということで「不当労働行為」にもなります。

それに、応援したいという気持ちから多くの労働組合員が「団体交渉(団交)」に参加することもあります。

「数の力」と「使用者と対等の立場での話し合い」
というのがどのようなものなのか実感できる


と思いますよ。
v(^^)

ですから、「労働法に詳しくないんだけど・・・」「パワハラ上司やパワハラ社長が怖くて何も言えなくなりそう・・・」などと、どうか心配なさらないでください。

援護射撃を喜んで行ってくれる頼もしい味方と一緒に「団体交渉(団交)」を行うのですから。


● 同じ想いと経験を持つ強い味方、仲間がいる
労働法に違反した行為を行うということは、懲役刑や罰金刑が科せられる労働犯罪です
会社側が犯罪を犯しているにもかかわらず、

「仕事なんだから、給料をもらっているんだから、雇ってもらっているんだから、少しは我慢しないといけないよね」
「これぐらいの違反、どこの会社でもやっていることだから」

「こんな小さなことで、いちいち目くじらを立てなくてもいいんじゃないの」
「そんなことを言っていたら生きていけないよ、時には忍耐も妥協も必要だよ」

などのように、ご家族やご友人、職場の同僚の方などの身近な人に言われることもありますよね。
言っている側に悪気はなく、むしろ心配して言ってくれている面もあるかとは思います。

でも、自分だけが他の人とは違うように感じたり、間違ったことをしているように感じたりして孤独を感じてしまう人も多いのではないでしょうか。

迷ったり悩んだりすることも多いのではないでしょうか。
「誰にもわかってもらえない」と、悲しくなって泣きたくなることもあるのではないでしょうか。

そんな時にも、味方になってくれるのは労働組合員という仲間です。
何故なら、同じように迷ったり悩んだりした経験もあれば、孤独も経験して来たからです。

同じ想いと経験を持つ強い味方がいる。
自分は決して一人ではない、仲間がいる。
そう思えるだけでも、ちょっとほっとしませんか?


いかがでしょうか?
憲法や法律で認められている権利を労働者である皆さんも持っています。

その権利を行使するか、行使しないか、どうするかを決めるのは、もちろん皆さん自身です。
でも、せっかくの権利を一切行使することなく、何を言われても何をされてもひたすら我慢したり、何もせずに諦めて泣き寝入りしてしまうのはもったいないように感じませんか?


【余談:よくある勘違いの笑い話】
「団体交渉(団交)」について初めて知った時は、ただ耳にしただけでどんな漢字なのかも知らなかったということもあって、

「はあ?ダンコー?何それ?」
「ダンゴーの聞き間違い?」
「労働組合と何の関係があるの?」

などと不思議に思って質問した覚えがあります。

実は、勘違いした人は他にも意外といたようで・・・

「もしかして、ダン『ゴ』ーと間違ってない?」
「ダン『ゴ』ー じゃなくて、ダン『コ』ー」
「私も初めて聞いた時には、ダン『ゴ』ー と勘違いしたよー」
「みんな間違えるんだよねー、ダン『コ』ー と ダン『ゴ』ー を」
「ダン『コ』ー なんて知らないのが当たり前だよねー、勘違いして当然だよねー、あははのはー」

などと西区地域労働組合の人に言ってもらって、そして親切に教えてもらって、すごくほっとした覚えがあります。

何のことはありません。
「団体交渉(団交)」を「談合」と間違えていただけだったんですけどねw
ヾ(´ε`*)ゝ

「団体交渉(団交)」というのは、もちろん「談合」のことではありません。
「団体交渉(団交)」と「談合」は、何の関係もありません。

誰だって最初は、こんなものですよね。
わからないことは何でも質問してみるものだなーと、つくづく感じましたよ。

「団体交渉(団交)」と「談合」のように、ちょっと笑ってしまう言葉が他にもあるので、それはまた別の機会に紹介しますね。
(^^)



少しだけど役に立ったと感じて下さった方は、
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【参考】
よろしければ、以下も参考になさって下さいねー。(^^)


どんな解雇なら不当で、どんな解雇なら不当ではないの?
社長や上司の一言で即日解雇って、あり?なし?
「クビだ!」等と言われた時、やるべきこととやってはいけないこと
なぜ会社は辞表(退職願・退職届)を書かせようとするのか?
配置転換等を悪用して自主退職に追い込む手口にご注意下さい
社長や上司が怖い、話を聞いてくれない時の対抗手段:団体交渉(団交)

会社が労災を認めない、会社が労災の申請をしてくれない時の対処法
労災認定基準:労働基準監督署はどんな基準で労災を判断するのか
うつ病等の労災認定基準:パワハラ、セクハラ、長時間労働など
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